アジア・カップ 1次リーグ 日本対ベトナム(4-1)

 開始早々オウンゴールで1点を先制されたが、まったく負ける気などしなかった。いったい本当に日本がベトナムに負けるなどと、特に日本代表の関係者で思っている人がいたなら、その人は即刻仕事をやめてもらいたいと思う。
 個々の力もチームとしても、スピード、テクニック、経験、メンタリティ、その他どこをとってもすべてに圧倒的といっていい力の差が見て取れた。ベトナムのアドバンテージは「ホーム」ということだけである。開催国ということで、おそらくはこれまでになく入念なチームつくりをしてきたのだろう、それがUAE戦の勝利、ひいては1次リーグ突破につながったと思う。そのことには敬意を表したい。
 しかし、これだけ力の差が歴然としていては、点を取るチャンスはまさにその事故のようなオウンゴールくらいしかないし、そういうことが起きる確率はきわめて低いので、2点取ればほぼ負けはまちがいないと思った。
 そもそも日本とベトナムでは目標がまったく違うし、お互い国を背負っているということで、まっとうな代表チームなら+アルファの力が出ることがあるにしても、実力から言えばJ1と大学チームの対戦みたいなものなのである。油断や驕りがあっても楽勝とは言わない−−何より国同士の試合にリスペクトの気持ちは欠かせないわけだし−−が、油断や驕りがなければ負けるはずのない試合だとも言える。
 いったい日本のマスコミの騒ぎぶりはどこまでもおかしいと思う。本当に1次リーグが突破できないかもしれないと思っているのか、単に物語を面白くするために言っているのかわからないが、応援しているファンとしては実に不愉快な報道ぶりだと言わねばならない。
 私の唯一の不満は、またしてもたった4点しか取れなかった攻撃にある。試合後のインタビューでオシムも内容には不満なような発言をしていた。今大会どういうチームできているか知らないが、日本が韓国・中国・オーストラリア・イラン・サウジアラビア以外の国に負けることはほぼありえないというのは当たり前の話だと思う。アジアで、日本にとっての優勝以外に勝利と呼べるものなどないのである。そんなものプレッシャーでもなんでもない。そのくらい日本はアジアレベルでは強いはずだ。逆に負けたからといって「オシムやめろ」などとファンは誰も言わないだろう。そんなことを言うのはマスコミくらいなものである。
 次に試合まで数日空くらしい。特に高原には体調を万全にしてもらって、悔いのないプレーでぜひ優勝を期待したい。