日本、奇跡的な引き分けで勝ち点1

 その暑さがどのくらい暑いのか、ピッチの選手、あるいは幸運な観客にしかわからないけれど、日本の動きは生彩を欠いているように見えてしまった。
 俊輔はTVで見る限り、消えてしまった時間が多かったし、高原は一体どこで何をしているのかわからないと感じてしまった。枠への強烈なミドルシュートを2本放ったとはいえ、ヒデにもパスミスや中盤でボールを奪われるシーンが目に付いた。他の選手をカバーするために運動量が多かったからなのか、ヒデ自身のプレーの問題なのかは私にはわからない。ヒデは直後のインタビューで「またしても同じミスをして勝てる試合を落とした。緩急をつける攻撃ができなかった」というようなことを言っていた。確かにゴールを奪えてもおかしくないようなシーンがいくつかあった。しかしクロアチアにはもっとあった。緩急と言っているのは、かなり厳しいところへのスルーパスに反応していなかったり、今まで何度も見たように、たとえば、アレックスのクロスに対して、ゴール前に誰もつめていなかったり、そういうことなのだと思う。「緩」はともかく、急に移ったときの反応が1テンポ遅かった。
 それにしても、PKを止めた川口のセーブはすばらしかった。そのうえで勝ち取った勝ち点1は奇跡に思える。解説の岡ちゃんがハーフタイムに言っていた。「ピンチは多いけど、点を取られる気がしない。」
 後半しばらくのピンチもしのいで、この言葉をすっかり信じる気になった。だからこそ点を奪えず勝ち点が1にとどまったことが悔しくてしかたがない。そういう意味では確かに「勝てる試合だった」と言っていいのかもしれない。

 相手がブラジルとはいえ、試合はやってみないとわからない。同じ意味で、このあとのオーストラリアにもブラジルに勝つ、または引き分ける可能性も十分にある気がする。
 私はハイライトで見た決定的なシュートを見て、ロナウドも「らしさ」を見せたと書いたが、ゴン中山によれば、「ロナウドはまったく動いてなかった」ということらしいし、どうやら、そのシュート1本だけが見せ所だったようだ。オーストラリア戦しだいではロビーニョに交代させると監督に言われたという話もある(それでもロビーニョだけど)。ロナウジーニョもパパラッチのおかげで、集中力にかけているかもしれない(ほんとに気の毒な話だと思う)。そしてサッカーに「絶対」は少ない。
 そう考えてくると、どう転ぶとしても、日本にとっては、2点差で敗れている事実が、予選突破に向けて大きな重石となってしまった。逆に2点差で勝っているオーストラリアにはブラジルに対してさえ、大きなアドバンテージになりうる。
 日本はブラジルに2点差以上つけて勝つしかない、ということになるんだろうか?今大会でもガーナがチェコに2点差で勝った試合などもあるにはあるけれど、今日のサッカーを見る限り、その可能性は極めて少ないと言わざるを得ない。
 それより何より、日本の選手には元気がないのが気になって仕方ない。だから、もっと早く大黒を使ってほしいなあ、と私は思う。若い巻だって使ってみてもいいと思う。いや、ぜひ早めにつかってほしい。もうひとつ気になることがある。宮本がイエロー2枚でブラジル戦は出られなくなった。誰が真ん中に入るのか。中澤、坪井なのか?まさか中田浩二を使うのか?

いや、とにかく、でもあきらめてはいけない。サッカーはラグビーではない。最後の最後、可能性がゼロになるまで応援し続けるのみ。