メッシはやはりすごかった!

⑤アルゼンチン対セルビアモンテネグロ(6-0)

 うわさのメッシがとうとうピッチに登場しました。グループリーグも2試合目が始まっています。強豪同士と見られ、おそらくほとんどの人が接戦を予想していたと思いますが、セルビアモンテネグロは、まさに「完膚なきまでに」叩きのめされてしまいました。
 NHK解説の加茂周さんがおっしゃっていたように、アルゼンチンの強さの秘密は、個人としても、組織としても攻守ともにバランスがよいことに尽きると思いました。クレスポリケルメや、テベス、ソリンなどタレントがそろっていることはいうまでもありませんが(アイマールが控えで、サネッティさえ代表を外れているわけですから)、それだけなら前回も前々回も、そろいすぎるほど揃っていました。しかし大した成績を残せなかった。
 今回は少し違うようです。まず若い選手が多いので、適度な欲望があります。つまり、この大会をステップアップにしたいという純粋でまっすぐ強い欲望ではないかと思います。彼らはすでにそれなりの実勢も実力もあり、手を伸ばせば手が届きそうなところにそれはあります。こういうモチベーションはプレーにより真剣みを増すはずです。ちなみに日本においても、そういう選手(大黒とか、稲本とか)を積極的に使ってほしいとは思いますね。逆に言うと、今までのアルゼンチンは余裕がありすぎて、どこかぎりぎりの真剣さに欠けるところがあり、それがあだになったと私は思っています。
 選手と選手の距離感が抜群で、しかも試合を通じて維持されていました。そしてDFの戻りは恐ろしく早かった。無駄な動きが少ないですね。あの、特に2点目のパス回しからのゴールは見事としか言いようがないし、今大会私が見た中では最も美しい完璧なゴールだったと思います。
 そして後半も終盤に登場したメッシです。あの落ち着き、プレーの正確さと強さ、一瞬のスピード、どれをとっても18歳とは思えません。噂に違わぬすごい選手だと思いました。彼こそは、最もバランスが取れているし、クレバーこのうえないとも思いました。今後どういう使われ方をするのかわかりませんが、ペケルマン監督はすごいチームを作ったものです。
 唯一つ懸念を表明するとすれば、こうしたスタイルはどちらかと言えば繊細で、バランスが崩れやすいのではないでしょうか。このアルゼンチンに限っては、さらに強さを持ち合わせているように見えましたが、大会中維持し続けることができるかどうか。それができるなら優勝も大いに可能性と思いました。