ポルトガルの守備はすばらしい!そしてフェアだと思う

ポルトガル対オランダ(1-0)
 イエロー16枚、累積退場4人という激しい試合だった。勝ったとはいえ次戦にデコとコスティーニャが出られないというのは、ポルトガルにとっては痛いし、何より観るわれわれにとって痛い。個人的にはポルトガルを一番応援しているので、ショックだ(ただ、途中出場のシモンやティアゴもすばらしい動きを見せてくれた)。
 直近でポルトガルの5勝3分1敗という思わぬ大差がついている両国。しかし今大会でのパフォーマンスを見れば、実力は伯仲している。個々の攻撃力では、おそらくオランダが少し上回っているが、組織的な連携による正確で美しいアタックは今大会中ブラジルと並び称されるべきものだし、ポルトガルも決して負けているとはいえない。

コスティーニャの献身

 守備においてはポルトガルが上回ると思う。コスティーニャは退場になったが本当に献身的に、死ぬ気で守っていた。感動した。彼のファウルにはどれも意味があるし、不必要で悪どいファウルではなかったと思う。ピッチを去る姿もとても潔かった。GKのリカルドも怪我などまったく恐れていないし、スーパーセーブが数え切れないほどだった。

オランダのファウル

  オランダのファウルはかなり悪質なものに、私には見えた。クリスチアーノ・ロナウドフィーゴに対するブロンクホルストのファウルは特にひどい(彼は後半ロスタイムに退場となったがまったく当然だと思う)。オランダの選手はみな身体がデカくて強いから、国内リーグでは当たり前なのかもしれないが、ボールと関係ないような場所−−太ももへのスパイクやひじ打ちは、1発レッドにすべきじゃないのだろうか?
 見方を変えれば、この試合は意地と意地のぶつかり合い。両チームともまちがいなくベスト4くらいには残ってもおかしくない力を持っていると思う。選手もそう思っているから、負けられない一戦だったのだ。特にオランダは直接対決の分の悪さが、チーム全体にプレッシャーをかけ、それがファウルにつながっていたように思う。冷静さを欠いていた。

クリスティアーノ・ロナウド涙の退場

 クリスティアーノ・ロナウドは本当に頑張っていた。きっと1秒足りとプレーを続けられる状況ではなかったのではないか。ファウルを受けた後、ドリブルはすっかり影を潜めたが、攻撃の基点となって、ワンタッチで前線に有効なパスを供給し続けた。しかし前半34分、完全に力尽きて、ピッチに倒れ込んだ。もうこれ以上立っていることもできない、というように。ベンチに下がった彼は泣いていた。私は彼の泣き顔を見て、その必死な思いに感動を覚えた。次戦に影響を残さない程度に、怪我が治癒していることを願うばかりだ。

魅惑の攻撃陣

 それにしてもこの両チームの攻撃陣はすごい破壊力だ。ロッベンのオレンジのシューズはよく目立っていたが、この試合ではドリブルで切り込んでの決定的なシュートは見られなかった。それでもペナルティエリア近くで、すばらしいパスを出した。
 この試合ではファン・ペルシーのゴール近くでの切り返しに、ポルトガルディフェンダーが振り回されるシーンが何度かあって、それは実に楽しかった。この二人の前に向かうドリブルの力は、間違いなく世界トップクラスだろう。
 いやあ、マニシュのシュートはすばらしかった。ボランチの仕事ではないです。あの冷静さ、そしてシュートの正確さ。美しいとしか言いようがない。決まらなかったけど、パウレタの決定的なシュートもちょっと感動しました。体のバランス、振り抜いた足の速さ。しかし、ファン・デル・サールのセービングもさすがに本気だった。

ワールドカップはやっぱりスポーツだった

 退場になったデコは、バルサの同僚だと思うが、オランダの選手(!)2人と、しけた顔で何かさかんに話をしていた。この両チームには、チェルシーバルサなどクラブチームでの同僚がたくさんいるらしい(不勉強でよく知らないが)。当たり前だが、国を代表して戦うワールドカップではそんなことはまったく関係ない。この試合は今大会でおそらく一番激しい試合だったと思うが、そんな彼らを見てたら、「これは戦争ではなくスポーツなんだ」と当たり前のことに気づいて、少しほほえましい光景だった。
 次戦の相手はイングランド。楽しみは尽きない。