ドイツ対アルゼンチンは予定調和的結末

 後半早々に、アルゼンチンが1点をとったことで、俄然ゲームは動き出した。アルゼンチンは不運にもGKが負傷。結果から見るとこれが躓きの石となった。ペケルマン監督は、このあと、90分間で勝つために守りに入った。1点目のアシストを決め、すべての攻撃の基点であったリケルメを交代させ、さらに点取り屋クレスポを交代させたことで、その意図を明確にしてしまった。
 対するドイツのクリンスマン監督は、攻撃的な選手を2人入れ、後半35分、バラックのすばやい判断からのクロスに交代したボロフスキーがヘッドで反応。現在得点王のクローゼが頭で正確に決めてゴールを奪う。このあたりがホーム・チームの強さである。クローゼの決定力もすばらしかった。
 結局、延長もお互い点を奪えないままPK線へ。レーマンの好セーブも賞賛すべきだろうが、予定調和的にドイツが準決勝へ駒を進めた。終了直前には歩けないほどになってしまったバラックがきっちりPKを決めたのは、ちょっと感動的だった。次の試合が少し心配だ。
 ドイツはこれで決勝か3位決定戦か、いずれにしてもあと2試合戦えることになり、開催国としての面目を保ち、アルゼンチンも悔しいだろうが、「PKで負けた」面というエクスキューズを得て面目を保った。

メッシのW杯も終わってしまった、残念。

 守りに入ったことで、ペケルマンはメッシを使えなくなった。メッシにとっても観客にとっても残念なワールドカップになってしまった。クローゼはあと2試合戦えることで、俄然得点王の可能性が高まったと思う。対抗はやはりロナウドだと思う。この二人はチャンスをゴールに変える能力が図抜けているように思う。
 それにしても、そいつのサッカーは、その体のでかさ、強さ、攻め上がりのスピードなどにおいては−−サッカーがそういうことを競うのなら−−オランダと並んで世界一、二だと思うが、面白みという点では、私にはかなり魅力に欠ける。加地を故障させたシュヴァインスタイガーはこの試合でも荒っぽいプレーをしていたが、彼はK-1にでも参戦したほうがいいのではないかと思ってしまった。
 ドイツは優勝できないと私は思う。次の相手はイタリアだ。