キリンチャレンジカップ2006 日本対ガーナ(0-1)
近年まれに見る質の高いゲーム
オシム・ジャパンになって一番いい試合だった。というより、ジーコ時代を含めて、いやもっと言うと、「これまでの日本代表の試合の中で、こんなにスピーディーでスムーズで楽しい試合はいったいいつ見ただろう?」と思うくらい退屈しない試合だった。
相手がドイツ大会ベスト16のガーナということを考えれば、まるでヨーロッパの強豪同士の試合のようだった、と言っては言いすぎだろうか。国際「親善」試合ということもあるけれど、とてもフェアだった−−逆に言うと真剣みという点で多少落ちるとも言えるかもしれないが−−ということもこの試合がいい試合になった大きな理由だろう。
結果的に日本の負け試合だったにもかかわらず、こんなに悔しくない試合も経験がない。
日本の選手層は意外と厚い
前半は特に日本もよく走り、攻守に集中していたと思う。お互いに攻守の切り替えが早くスピーディーだった。後半早々からガーナが前から厳しくチェックし始めて、パスを奪われるケースが前半よりは多くなり、本当に稲妻のようなシュートが突き刺さった。この試合も好セーブを続けていた川口でも、あのシュートは取れない。
とにかくガーナの選手はサッカー選手というより、レスリングの選手のようで、そのパワーとスピードはすさまじかった。
そうはいってもこの試合では日本は大崩れすることはなかった。遠藤は、これまでになく積極的なプレーで、チャンスを演出した。これまでは何だかお客さんみたいで、素質は高いが遠慮がちなプレーが目立ちあまり評価していなかったが、この試合で、ひと皮向けた気がした。後半20分過ぎに入った播戸竜二は頭を蹴られて出血したがすぐピッチに戻った。熱い。こういう選手を待ってた。この試合でもなじみのない選手がたくさんいて、まだ「顔がよく見えない」感じだけど、みんな想定以上によくやったと思う。日本の選手層の意外な厚さにびっくりした。あとは気の抜けたようなパスミスを一本でも減らすこと、そしてやはりチャンスをものにする貪欲さが望まれるばかりだ。