赤坂・明星輪寺の縁日「初こくぞう」に行きました。

Uu-rakuen2007-01-15

初こくぞう

 1月12日、13日の両日、大垣市は金生山にある明星輪寺で「初こくぞう」という縁日があり、それが技芸向上などを願う参拝客を集めると聞き、私も行ってみることにしました。そんなお寺があることさえ実はよく知りませんでした。
 金生山には、小学生の頃、化石を探しに父とでかけたことがあります。山自体は「石灰岩の山」として、岐阜・西濃ではよく知られていますし、日々山肌を削られ、年とともに変わってゆく姿を痛々しい思いで、折々眺めていたのでなじみがありました。
 金生山では赤鉄の鉱石も産出するそうです。4世紀頃からたたらを使い精錬された鉄を用いた製品が作られていたようで、江戸時代大垣藩主戸田氏が武運長久の祈願所としたということとあわせて、「技芸向上」が謳われている由縁であろうかと推察します。
 「こくぞう」というのは音で聴くとなんだか楽しそうですが、漢字で書けば「虚空蔵」、つまり虚空蔵菩薩のことです。広辞苑を引くと「虚空のように広大無辺の福徳・智恵を蔵して、衆生の諸願を成就させるという菩薩」とあります。

日本三大虚空蔵

 ちなみに、この明星輪寺のご本尊は宵虚空蔵と呼ばれ、伊勢・朝熊山の朝虚空蔵、京都・嵐山の昼虚空蔵と並んで、日本三大虚空蔵と称されるそうです。そのご本尊は本堂の奥にあるそうで、私もお参りをしましたが、熱心な信者の方が数多く祈願を捧げられており、何十本という太いろうそくの火の供えられているのを垣間見ただけで、祠の手前で引き返したので、そのお姿を見ることはかないませんでした(そこにご本尊が祭られていることを知らなかったのですが)。

柴燈護摩

 12日の夜7時頃から行われる柴燈護摩(境内に護摩壇を設け、修行僧がほら貝を吹き鳴らし、柴垣を燃やし護摩木を焚いて本尊に祈りを捧げる)に間に合うように出かけたのですが、夜ゆえ灯のない看板はまったく目に付かず、山のごく近くでさえ、縁日をやってるような気配は微塵も感じられません。相当ぐるぐるあちこち走り回り、「これでダメならあきらめよう」と上った道の先に行き交う多少の人の姿を見つけました。
 というわけで何とかたどり着いた駐車場に車を停め、真っ暗闇の中を、教えていただいた山の上の明かりのほうを目指して歩き始めました。交通整理のおじさんは「おれだったら2時間はかかるな」と笑ってましたが、20〜30分で境内まで行き着いたと思います。参道は大部分が舗装されているもののかなり急な坂でした。にもかかわらず、あちこちで杖をついたご老人が家族に支えられながら上る姿も見ました。初こくぞうにお参りしたいという強い意志、信仰の深さを感じました。

夜景、護摩

 低い山なので全然期待してなかったのですが、大垣の街を一望する夜景は大変すばらしいものでした。ちょっと感動しました。
 そしてもちろん柴燈護摩。それは期待を上回る緊張感、歴史と伝統の重みゆえの荘厳さを湛えたもので、火の激しさは見るものに畏敬の念を生じさせずにはおかない。一方でその強さ、たくましさは、新年を迎え、新たな希望をたぎらせるに足る力にあふれていると映じました。
 新年早々、思いがけず、すばらしい体験ができたことを感謝した一夜でした。

http://www.sukima.com/03_nisimino00_02/14myojo_.html・・・へりおすさんによる紹介ページ。


※追記
奥の細道の途上、芭蕉がここに立ち寄り一句詠んでいます。

  鳩の声身に入みわたる岩戸哉

 山形の山寺で詠んだ有名な次の句を私はすぐに連想しました。

  閑さや岩にしみ入蝉の声

 出来としては山寺・立石寺で詠んだ句に遠く及ばない気がしますが、個人的に好きなこの句を連想させるような一句がここで詠まれていたことに少し感動を覚えたので、余談ながら書き加えました。