フィギュアスケート世界選手権 安藤美姫金メダルおめでとう! 

 そのサッカーが終わるのを待たずに始まってしまった世界フィギュアの女子フリーで、安藤美姫伊藤みどり佐藤有香荒川静香についで日本人4人目の世界チャンピオンになった。
 正直に言うと、私は浅田真央を最も応援していたし、「真央ちゃん」の力はポテンシャルからいえば図抜けていると−−まあ誰もがほんとは思っているという気がするが−−思っているので、普通にやれば優勝は確実だと思っていた。しかしショートプログラムではまさかの5位。10点差の意味がなかなか素人にはわかりにくかったとはいえ、1位キム・ヨナの演技はほぼ完璧に違いなく、本当によかった。
 今日のフリーでは、そのキム・ヨナがまずジャンプを2度失敗。女子にとってフリーは本当にきついらしいので腰痛を抱えるキム・ヨナには耐え切れなかったということなのだろうか。そして真央ちゃんは、この大会−−初めての世界選手権だし16歳だし地元開催だし当たり前といえば、あまりに当たり前だが−−かなり緊張している様子が見て取れ、練習でも控えでもいつもの伸びやかさがない。しかし、フリーはまずまずの演技で、質の高さは変えようったって変えようがなく、この時点でトップ。
 キミー・マイズナーも大好きな選手だが、ディフェンディング・チャンピオンとは言え、このメンバーでは、相手がミスをしない限りメダル獲得はかなり厳しい状況の中、自分がミスをしてしまっては勝つチャンスはない。
 この時点で真央ちゃんの銀メダルは確定。後は最終滑走者の安藤美姫しだいとなった。
 今シーズンの安藤はトリノ・オリンピックまでとは180度うって変わって、最もミスの少ないスケーターに進化していた。4回転を飛べる能力を持ち、ステップにも自信を持つ彼女がミスをしなければ、これを超えられる選手は極めて限られてくる。そして、このプレッシャーの中、安藤“ミキティ”だけが、ショート、フリーともほぼノーミスで滑り終えたのだった。真央ちゃんとは接戦になると思われたが、その通りわずか0.64ポイント差で1位となった。
 4回転は回避したとはいえ−−結果的にはおそらくそれが金メダルを獲ることができた最大のポイントといっていい−−安藤のレベルでショ−トとフリーの両方をノーミスで滑るということはそうそうあることではないので、この結果に誰も文句をつけることはできないだろう。やたらと放送される彼女たちの練習風景を見知っているわれわれとしては、中野友香里も含めた誰もがメダルもしくは優勝に値する練習と努力を積み重ねてきたことも知っているのだから。心からおめでとうを言います。

ニコライ・モロゾフ 恐るべし!

 この人がいったいどこまで、全体のどの程度の影響力があるのかよくわからないのだが、そのかなりの部分に彼がコーチとしてかかわり、指導しているのだとすれば、そのコーチング能力はきっときわめて高いにちがいない。
荒川静香、今回銀メダルの高橋大輔(フリーはすばらしい演技で1位だったし、プログラムの全体を通してのポテンシャルはやはり世界一だと思う。とにかくスケーティングの滑らかさ・柔らかさ・スピードがすばらしいですよね)、そして安藤美姫。この確率はフロックではありえない。「実際に滑って模範を示してくれるコーチ」として荒川が指導を仰いだ話は有名だし、歴代チャンピオンが「ブルーの衣装」だからと、荒川にもそれを提案したという話も荒川本人がTVで話していた。「熱い指導をする」というようなことも聞いたが、ほかにどんなことをしているのかぜひ具体的な指導内容を聞いてみたいものである。きっと不振をかこつスポーツの指導者の役に立つに違いないと思うのだが・・・。そう簡単には教えてくれないか。