松坂はほんとうにすごい

松坂は日本人だった

 初回A・ロッドに初球インハイを攻め、ぶつけた。この時松坂は高校生のように帽子を脱いで頭を下げた。
 メジャーではぶつけたピッチャーが頭を下げることはない。(実際はともかく)狙ってぶつけたわけじゃないからだ(メジャーこそ、あきらかに報復などでぶつけてるケースと思われるケースが実際は多いが)。
 だから、「帽子を取って謝ったりするな」と教えられると、いつか聞いたことがある。 だがしかし、私はこういう松坂が大好きである。意図的ではなくても「ぶつけてしまった」「すんません」、それが日本の野球である。

松坂の「格」

 その後、セットアップになったせいか、ぶつけてしまった動揺も少しはあったのか、2点を失う。2回は抑えたものの、3回今度はジータにぶつけてしまう。A・ロッドにはびりびりする勝負の末−−この時のボストンファンの盛り上がり、三振を求める「K」のカードを掲げながらうねるような歓声にはびっくりした−−、最後は内角に狙い通りの投球で三振に打ち取ったものの、ジアンビのどん詰まりのあたりでさらに1点を失った。
 すごいと思ったのは、そのあとのバッターとの勝負だ。簡単に追い込んだ後、1球外にはずして、最後は高めに152キロのくそボールで、いとも簡単に三振に獲った。そこには3点目を取られた悔しさがにじみ出ていた。
 ところで、そのバッターが誰だったかといえば、昨年は打率.342と首位打者争いにも加わった成長著しいロビンソン・カノーである。
 何が言いたいのかというと、カノークラスの格の選手でも、松坂にとっては明らかに格下なのである。これはものすごいことだ。犬のにらみあいではないが、勝負の世界では意外とお互いの「格」で勝負のかなりの部分が決してしまうということがある。
 つまり、「抑えようと思う場面では(よほどのバッターでない限り)いつでも抑えられる」という松坂の力と技は、メジャーでも日本と同じように機能するということなのであり、松坂が少なくとも日本並みの成績を残すことを私は確信したのである。

4連続ホームラン!たまげました。

 そして、次の4回。松坂の気合が乗り移ったように、不振を囲っていたラミレスのバットが火を噴いた!センターに場外かというようなホームラン。打った後は自信に満ち溢れた表情だった。そしてそして、驚くなかれ、続くドリュー、ローウェル、バリテックと4者連続ホームラン!!!! ありえない!(ちなみにンボストンでは初めて、MLB全体でも4度目だか5度目だかだという)
 レッドソックスは、まさにメジャーの阪神である。
 松坂はたった10球で逆転してもらったことになる。

MLB最高の対決。A・ロッド対パペルボン。

 その後結局また再逆転された松坂だが、今日は打線が奮起した。ローウェルの逆転3ランで勝ち投手の権利を持って7回1/3でマウンドを降りた。
 ついでに言うと最後のバッターとなったA・ロッドとパペルボンの対決はもうメジャー最高の見ものの1つだった。時速100マイル(160km)前後の直球と145km前後の落ちるボール。193cmの長身から投げ下ろすピッチングの迫力は、日本では決して見られない。それにMLB最高のバッター、絶好調のA・ロッド。いやあ、すごいです。

 自責点6ながら2勝目を上げた松坂。宿敵ヤンキースを相手にホーム フェンウェイパークでスイープ(3連勝。17年ぶりだそうだ)。今日勝ったのはボストンにとっては本当に大きかった。良かったね、ダイスK。