フレンチ・オープン男子準決勝 フェデラー vs ダヴィデンコ(7-5、7-6、7-6)

 杉山愛が女子ダブルスで決勝に進出した。今日のWOWOWで生中継するらしいので、チャンネルを合わせたら、まずは男子シングルスの準決勝2試合がLIVEで行われていた。
 赤土のコートでは圧倒的にナダルが強くて、フェデラーは4大オープンでこのフレンチだけタイトルがない。おそらくは男子テニス史上最強と思われるフェデラーにとって、今大会こそ悲願の−−そして当然獲るべき−−タイトルにちがいないし、今回はフェデラーが優勝すると確信している。
 といっても大した根拠があるわけではない。前哨戦となる大会ではフェデラーナダルを破って優勝し、ナダルのアンツーカーでの連勝をストップさせているが、それだからといって全仏の決勝でも(ナダルは準決勝は勝ち上がると思う)勝てるかはわからない。

 スター性が乏しいといわれたフェデラーだが、今や圧倒的な王者で、個人的にはウェアもカッコイイと思うし−−この試合ではナイキのブルーのウェアで、アンツーカーのオレンジに鮮やかに映えていた−−、スタイルも性格も頭のよさも申し分がない。人気についてはいまだ圧倒的かどうかはわからないが、まずは魅力的な王者として認められているのではないかと思う。
 ところで、ダヴィデンコという選手は、風貌といい、プレーといい、実に地味な選手である。テニスは粘り強さが身上と思われる。いい選手に違いなかろうが、驚きがない。まあ、それもひとつの個性だし、私としては、スタイリッシュなばかりで弱い選手よりは好みである。

 この試合もダヴィデンコはよくがんばったと思うが、フェデラーの強さが強く印象付けられる結果となった。何と言っても第3セット、5-3と1ブレークダウンで迎えた第9ゲームが圧巻だった。ダヴィデンコのサービスゲーム。キープすればセットカウント2-1。ダヴィデンコにもチャンスがないではないという展開になりえた(結果から見れば、仮にこのセットをダヴィデンコが取れたとしても、勝てる可能性はほとんどなかったと思う。なぜなら、フィジカルが明らかに落ちてきていたからだ)かもしれなかった。
 しかしこのゲーム、8回だか9回だかのデュースの後、結局フェデラーがブレイクバックした。フェデラーは小さくガッツポーズ。TVに映し出されたダヴィデンコのコーチは苦笑いを抑えられなかった。「なんてやつなんだ、フェデラーってやつは」もしくは「ダヴィデンコ、しかたないさ。これがテニスだ」その笑みの意味するところがどっちかはわからない。
 次のサービスゲームフェデラーが守って、5-5。次のゲームはダヴィデンコが簡単にキープする。セットを獲るポイントというのがいかに難しいか、こそれをれほど鮮やかに感じさせた試合もない。そしてこのセットをタイブレークの末奪って、フェデラーは決勝に進出した。