フジマキ、はやっぱり面白いですね。

 かつて、フジマキといえば、まず思い浮かぶのは「忍者ハットリ君」のフジマキでしたが、今や伝説のカリスマディーラー?藤巻健史であるという人も少なからずいるかもしれません。
 実は私も、かなり前からフジマキさん(弟の幸夫さんのほうが福助の社長として名を馳せたのは早かったかもしれない)に注目してました。といっても、最初に知ったのは朝日新聞日曜版に兄弟お2人で書かれていた「フジマキに聞け!」だったという気がするので、「フジマキ」をフューチャーした朝日新聞の担当者こそエライ!と思っていますが。

 その後TVなどへも出演するようになり、今やCMにまで出演するほどの人気ぶり。今更という気がしていて紹介する意欲が薄れていました。しかも、誠に申し訳ないが、TVのコメンテーターやCMタレントとしてのフジマキはさっぱり面白くないのです。幸夫さんが「本業に専念する」ため、朝日新聞日曜版の連載もおやめになり、元々楽しみにしていたのは兄・健史氏のほうだったのに、なんだか急速に興味がなくなって最近はろくに読んでもいませんでした。
 私が思うに、人をひきつけるフジマキの魅力・面白さは、カリスマディーラーとしての実績・経験や金融アナリスト?(彼の本業にはどうしても「?」を付けたくなってしまいます)としての博識と分析力?ではなく、家族・隣人・職場を舞台に、自身の俗物ぶりを自虐的に白日の元に惜しげもなくさらす小話的文章にこそあるのです。TVは彼の使い方をまったく間違っていると思います。
 しかし、やはりこの人の「俗物ぶり」「へなちょこぶり」のおかしさは特筆に値すると、更新された彼のHPを見てあらためて恐れ入ったので、ここに紹介することにしました。

 フジマキの文章は簡潔で、構成には無駄がなく、ダテに一橋学院と一橋大学を出てはいないと誰もが納得するすばらしい文章を書かれます。広島大学の入試に使われたというのはまったく不思議ではありません。あえてケチをつけるなら、ネタとオチの構成が少々パターン化されすぎるキライがあるということくらいでしょうか。

 もうひとつ、フジマキで私が気に入っているのは、彼の書くものは本文ではなく「付録」や「おまけ」のほうが圧倒的に面白いという事実です。しかし、悲しいかな、本文あっての「おまけ」であり「付録」なのです。そこに人生の悲哀があります。

 私がお金を出して購入した唯一の本は「直伝 藤巻流『私の個人資産』運用法」という本ですが、この本にも「もちろん」付録があります。どの「付録」にも、奥さんのアヤコさんやテニス仲間クゼ夫人、秘書のチノミさん、社員のウスイ嬢に、モルガン時代の部下スティーブとかおなじみのキャラ?が登場します。あまりに魅力的でひょっとしたらフィクションじゃないかと疑ってしまうこともありますが、フジマキがその気なら、「サザエさん」や「ちびまるこちゃん」に負けないくらいの世界を(もう少し厳しい大人の世界にはなるかもしれません)作り上げられる可能性があると思います。
 いやあ、クゼ夫人にはぜひ一度お会いしてみたいです。
 フジマキの名誉のために本文も説得力のある内容だったことを付記しておきます。
直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法