甲子園展望 2007・夏
恐るべし、常葉菊川。「ありえない」。
今日18日で3回戦が終了しベスト8が決まりました。わが大垣日大も勝ち残りました。次の準々決勝の相手はあの常葉菊川(静岡)。早くも春センバツの決勝戦の再現となってしまいました。
今大会常葉菊川の試合をあまりよく見てませんが、日南学園(宮崎)戦の戦いぶりにはまさに度肝を抜かれました。0-3で敗戦濃厚の8回裏2アウトから2年生の代打伊藤慎吾君の同点3ランで同点。これだけでもすでに「ありえない」の感がありますが、延長の10回裏、何のめぐりあわせか、再び巡ってきたチャンスに今度はサヨナラヒット。「ありえない」
静岡大会の戦績を見ると、伊藤君は打席に一度も立っていないばかりか、登録選手で試合に出場すらしていない−−つまり代走も守備も何にもしていない唯一の選手ではないですか。この選手をここで使った監督の勘はすばらしい。人間の能力を超えた何かが働いているとしか思えないですね。先日イギリスで360円だかで85億円の宝くじを当てた女性がいましたが、まさにそんな感じです。次の試合も彼はベンチスタートなのか、それが今私の最大の関心事かもしれません。
送りバントは簡単・確実に決めようよ、大垣日大。
こういう試合で勝つチームは強い。しかし、大垣日大も打線に調子が出てきました。今日の新潟明訓戦はすばらしい出来でした。相手の永井君は思いのほかいいピッチャーでした。スピードも140kmとそこそこありましたし、伸びを感じるストレートでした。コースもかなりきわどいところにコントロールされていたと思います。
ただ、これがことごとくボールの判定。監督の指示なのかどうかわかりませんが、大垣日大の各バッターは良く見てフォアボールを「積極的に」選んでいました。これが最大の勝因。今の大垣日大の攻撃にはメリハリが利いていて、ここぞというときには大量点を取れるような集中力があります。
私が1つだけ気になるのはバントですね。バントの構えからバットを引いて様子を見るケースが多すぎる気がします。結果、失敗するケースがここまで少なからずあります。複雑なプレーができるだけの練習を積み重ねたという自信の裏づけがあるのかもしれませんし、1ランクレベルアップしたということかもしれませんが、メジャーリーグの選手たちでさえ、バントの場面で(セーフティを狙う場面ではありません)バットを引くようなことは滅多にありません。明らかに送りバントの場面では、余計なことをせず、ストライクがきたら1球目から確実に決めていくようなプレーが大切だと思います。それ以外はパーフェクトじゃないでしょうか。
今日はチームとして3点取られていますが、森田の失点は0。わずか2/3回でしたが休めたのは良かったと思います。再登板後も集中が切れることなく危なげないピッチングでした。今日の吉田君の出来だと、ますます森田頼みとなることが確実となりました。これは仕方がないし、元々森田もそのつもりでしょう。今日は球速がもうひとつ上がっていなかったのが少し気になりましたが、明日1日休めるので、なんとか少しでも肩の調子をうまくケアして次の試合に臨んでもらいたいと願うばかりです。
現時点の優勝候補筆頭は帝京か。
ほかの対戦は、
佐賀北 −帝京(東京)
今治西(愛媛)−広陵(広島)
長崎日大 −楊志館(大分)
準決勝の組合せは明日19日に決まるようです。
佐賀北は今大会のダークホースかもしれません。なんといっても宇治山田商(三重)との引き分け再試合を制したチームですから。常葉菊川や、駒大苫小牧との試合でいわばマッチポイントをしのいで逆転した広陵と並ぶ強運と粘りのチームといっていいでしょう。
帝京はとにかくピッチャーがすごすぎます。今日の試合は見れなかったのですが、垣ケ原君が強豪・智弁学園を完封。神村学園戦の高島もほれぼれするピッチングでした。しかし本来のエースピッチャーは大田君だというんですから、たまげますね。
打線も甲子園に来て7点、9点、6点と大量点を奪ってきています。現時点では優勝候補筆頭とみます。先のセンバツでは準決勝で大垣日大に敗れていますが、そのとき先発していきなり2四球、わずか9球でマウンドを降りたのが2年生の高島。結局初回の4失点が響いて4-5で敗れ去ったのでした。高島はそのときの悔しさをばねにがんばってきたとどこかで言ってました。「自分のせいで負けた」という思いが彼の心に相当重くのしかかって今だ離れないでいるようです。準決勝か決勝で大垣日大とあたることがあり、高島が投げるようなら、これはなかなかの見ものとなること請け合いです。考えただけでゾクゾクします。
今治西、長崎日大、楊志館についてはあまりしっかりと見てないのでなんとも言えませんが、特に長崎日大は守備の固いチームのようですし、逆転で競り勝った京都外大西との試合は底力を感じましたね。