夏の終わり。大垣日大vs常葉菊川(1-6)

 大垣日大の夏は終わってしまいました。母校でもないし、知ってる選手や関係者がいるわけでもない。ただ、暮らす町にある高校というだけなのにいつまでも消えてくれないこの悔しさをいったいどう説明すればいいんでしょう?

常葉菊川は強かった。たしかに春のチャンピオンでした。

 1点を先制したけれど、この日も森田の球はあまりスピードが上がりませんでした。左打者の内角に決まるスライダーは「決して打てないだろう」と思わせる威力があったけれど、きわどいコントロールができていなかったし、全般的に球にいつもの勢いはなかったように思います。真ん中に集まり気味で、特に右バッターには打ちごろの球が多くなってしまいました。それでも踏ん張って5回の2点に抑えていたけれど、8回力尽きました。そのきっかけが、甲子園で見た駒大苫小牧の試合の再現フィルムのような三本間の狭殺プレーのミスからだったのは返す返すも残念です。2ランホームランはおまけみたいなものですね。

展開は悪くなかったけれど、決定的な1つのミスが勝負を分けた。

 序盤1-0でリードしていましたが、春の記憶が残っていてどうも収まりが悪い。いずれにしても1点しか取れないようでは負けると思ってました。1-2と逆転されて、このまま何とか1点差でいって、8、9回あたりに集中打で逆転し、最後の回を抑えて勝つ、というパターンしかないと思っていました。阪口監督も「逆転で勝ちたい」とインタビューで言っていて、「そういうことだな」と見ながら1人納得していたんですけど。
 今日はみんなリベンジを意識しすぎたのか、表情が硬かったですね。そのあたりの気持ちのあやもプレーに影響したかもしれません。試合前は、そういう彼らの気持ちがいい方向に出てくれるような気がしていたんですが。

常葉菊川春夏連覇の可能性は高いと思う

 それにしても、この夏初めてじっくり見た常葉菊川は本当に強いと思いました。まず、みんな身体が太くてでかいですね。だから、特にバッティングのパワーはすさまじい。たたきつけたゴロのバウンドの高さを見てそう思いました。しかも、ボールの見極めが良かった。
 対して大垣日大の各バッターは早いカウントから簡単に打ってしまうシーンが目につきました。大垣日大のきびきびしたプレーが私は好きだし、でかいのやちっちゃいのやいろんな選手が楽しそうにプレーしているのを見るのが好きですが、甲子園で優勝するのは難しいのかもしれないと今日の試合を見て思いました。それくらい常葉菊川のパワーは圧倒的でした。
 例の伊藤君は先発でしたね。今日もヒットを2本打ちました。秋以降のチームでは4番でしょうね。彼もあらためて見たらでかいですね。

大垣日大のみんな、お疲れ様でした。

 春、そしてこの夏と楽しませてもらいました。一人一人と握手して「ありがとう」とお礼を言いたいくらい、素直に感謝しています。いろんなチームを見たけど−−もちろん地元の贔屓目が影響していることを否定はしません−−君たちが一番いいチームだったと私は思います。こういうチームが出来上がるということ自体が奇跡みたいなことなんだと、きっと今以上にあとになってわかるときが来るんじゃないでしょうか。サッカーで言えば98年ワールドカップのフランス・チーム、ベースボールだと野茂が入った頃のドジャースラグビーなら平尾と大八木がプレーしていた頃の神戸製鋼。競技者としてのレベルは勿論比べようもないけれど、プレーから伝わってくる感動や見るものを揺さぶる熱さは引けを取らなかった。
 準決勝、決勝がまだ残っていますが、夏の暑さもそろそろピークを超えたようですし、私の中では今年の夏ももう終わったような心持です。家人も「すっかり気が抜けてしまった」と申しております。最高に暑い夏でした。