「いび川温泉 藤橋の湯」に行きました。
先日、岐阜県は揖斐川町にある「いび川温泉 藤橋の湯」に初めて行ってきました。国道303号線沿いにある「道の駅 星のふる里ふじはし」の中にあります。
ついでに言うとこの道の駅には徳山民俗資料収蔵庫という立派な建物もあり、当日は徳山ダムの湛水前後の写真が展示され、ダム建設のために湖底に沈んだ旧徳山村の姿の一端を見ました。学校など主な建物が試験湛水のために水の中に完全に没したのは2006年12月28日とあり、ついこないだのことなのだと知りました。
徳山ダム
実はこの日出かけた一番の目的はその徳山ダムを見ることでした。まだ工事をしているようでした。ダムのさらに少し先に徳山会館という宿泊施設があり、徳山村の暮らしぶりを知ることができる資料館を併設しています。
この日は隣の池田町出身の写真家・大西暢夫さんの写真展(大西さんの撮った映画「水になった村」と連動した展示のようです)や「筑紫哲也 ニュース23」の特集番組のVTRなどを見ることができました。もう電気もガスも水道もないのに、村を離れがたくしばしば戻ってくるというおばあさんが、ろうそくに火を灯し、山菜取りに出かける姿や村の自然を自慢気に話すおじいさんの姿が映っていました。
この建物の屋上からはもともとは谷であり村であったダム湖の全貌が見渡せます。そういう歴史を知らなければ、緑豊かな山なみにはさまれて満々と水をたたえる湖水は美しいばかりなのですが、さきほど写真を見たばかりの私たちは、どうやらダム建設により水没した村の象徴となっているらしい小学校があったあたりをどうしても探してしまいます。詳しいことを知らないいわば部外者である私にはあまり多くを語る権利はないでしょう、今となっては貯水量日本一だというこの多目的ダムがせめて多くの人の役に立つことを願うばかりです。
いび川温泉 藤橋の湯
この温泉施設はできて間がないらしくとても美しく清潔で広々としていて立派です。入り口を入って階段を下りたところにある休憩スペースはソファがいくつも置かれてちょっとした高級ホテルか旅館のような趣があります。中へ入ると洗い場も湯船もゆったりとしていて、築材には木や石などの自然の素材がふんだんに使われていて心地よい気分になります。サウナも広々。ロッカーや脱衣所もゆったり。
この日の男湯の露店風呂はまだ匂いの残る木の湯船(女湯は岩風呂)でした。サウナを出て表に出ると見知らぬ先客が「いやあすばらしい月が出てますよ。最高だなあ、ほらあそこ」と指差す空にはほぼ真ん丸のお月様が浮かんでいました。彼はそう教えてくれるとそのまま建物の中に姿を消しました。外界をさえぎる壁のせいで、唯一その満月を見やることのできる湯船のへりに腰掛けて、脚だけ湯につかりながらしばらく月を眺めていました。前日は中秋の名月だったのでした。しかしこの日も前の日も満月ではなく、満月はその翌日とのこと。中秋の名月とは旧暦8月15日の月で、必ずしも満月ではないということを今年初めて知りました。そのあと入ってきた地元の方らしいお二人が同じ話をしていたのが「いとおかし」かったです。
私は普段は眼鏡をしているので、月以外の星はほんのいくつかしか見えませんでしたが、目のいい家人は「星がいくつも流れていくのを見た」と申しておりました。まことに「星のふる里ふじはし」の看板に偽りはないようです。
思いがけずうまい手打ちそばを所望「そば処藤橋庵」
温泉のすぐ横には「そば処藤橋庵」なる民家風家屋の蕎麦屋があります。なんていうか、差し込む光の具合や、高い天井、どっしりした重そうな天板を持つテーブルなど、気持ちの良い空間に仕上がっていて、とても居心地がよかったです。シンプルに「ざるそば」をいただきましたが、つるつるとのど越しの良いなかなかうまいそばだと私は思いました。添えられたわさびが、香りといい味といいすばらしく、そばのうまさをさらに引き立てます。久しぶりにうまいそばを食えたという気がしました。しっかりしたボリュームにも満足でした。
※「藤橋の湯」について詳しくは下記HPを参照ください。
■http://www.town.ibigawa.gifu.jp/kankoujyouhou/healing/ibigawa.html