祝・北京オリンピックいよいよ開幕!

明暗を分けたサッカー予選

 開会式に先立って行われたサッカーの予選。なでしこジャパンは決してあきらめないという強い意志と冷静かつ確実なゲーム運びで勝ち点1を確保した。沢の右足のコントロールは完ぺきだった!
 対する日本男子。事前に言われていたほど楽な試合とは思っていなかったが、一抹の不安が現実になってしまった。オーバーエイジ枠をあきらめた反町ジャパンに対してベストのメンバーを集めたアメリカは格下の相手ではなかったということだ。五輪といえどもそれほど世界は甘くない。病気という不測の事態だったが、1点を取られ、審判の判定にもイライラが募り、浮足立ったように見えたチームに「遠藤がいたらなあ」と思った人は多かったに違いない。OAを使わなかったのは日本とコートジボワールだけなのだから。
 とはいえ今更言っても仕方のないこと。ナイジェリア、オランダにだって勝つ可能性が0とはいえない。この両チームが引き分けたのも日本にはラッキーだ。内田、長友、安田といったサイドバックはどの国にも負けない攻撃力があると思うし、森本、李、岡崎、香川といるFW陣も悪くないと思う。オシムサッカーの流れをくむ反町サッカーは攻撃的でいいと思う。決定力は気持ちの問題が大きいとは思うが、ゴールマウスの枠の中へ抛りこもうという強い意志がもっともっとほしい。反町監督はディフェンスには自信があるようだったが、両サイドが攻撃的なだけに反攻された時の対処に不安が残る。

北京オリンピックの成功を祈って

 小倉(智昭)さんが、アテネ・オリンピックでの日本の金メダル数16個(さらに銀銅メダルの数も1つしか違わなかった!)を当てたという話は有名だ。しかもそのすべての瞬間を会場で見たというのだから誠にうらやましい限りだ(きっと2度とないだろう)。
 今回の北京は、世界中の問題の見本市であるかのように問題ばかりがクローズアップされ、本来平和の象徴でさえあったはず(それ自体が大いなる幻想にすぎなかったのだという意見もあるかもしれないが)の人類の究極の楽しみとしての側面は、見る側とって(ひょっとしたら参加する選手にとっても)大きく損なわれかねない状況に陥り、今のところかろうじて踏みとどまっている感がある。
 人類で最初の偉大な文明を生んだすばらしい文化と歴史を持つ中国。そこで近代オリンピックが行われる意義は、中国一国の問題にとどまらず、人類の未来が今後どうなってくのかを占ううえで実はとても大きいことなのではないかと思っている。(というとあまりに大袈裟な気もするけど、実は意外と本気でそう思っている)。
 だからこそ、このオリンピックが「ああ面白かったね、素晴らしいオリンピックだったね」と世界中から祝福されることを祈ってやまない。すでに大きくマイナスに振れてしまった評価を、選手のすばらしいパフォーマンスや、中国の人々はもちろん世界中からの来訪者の力で、取り戻してもらわないといけない。
 そんな願いも込めて、日本のメダル数を予想して見ようという気になった。サッカーもそうだけど、同じ負けるにしても「よくやったなあ」という思いが、勝敗やメダル獲得以上に大事だと思っている。目標は人によって違うし、見る側もある程度それを理解している。この予想はメダル至上主義をあおるものではない。大雑把に言うなら「自己ベストを更新する」、そんなパフォーマンスを期待したいという意味を込めたつもりだ。

メダル予想

セーリング 個人的の最も注目している競技の1つがヨットの女子・470級だ。近藤・鎌田ペアは世界ランク1位である。自然相手だし、強ければ必ず勝てるわけではないが、当然金メダルが期待される。
■水泳 水泳は、もちろん北島に最大の注目が集まる。200mはハンセンの落選により金は堅いところだ。世界記録更新での金を期待したい。100mはハンセンも必死で挑んでくるだろうが、これをはじき返して、2種目連覇の偉業を期待する。
 水泳では、アテネ金の柴田の連覇はちょっと厳しいだろうか。なんとかメダル獲得を期待したいが難しいところか。背泳ぎの伊藤、中村も伊藤が好調なことが相乗効果を高めている気がする。金は難しいかもしれないが、100m・200mでメダル2個を期待したい。
 あとは大舞台に強いバタフライ女子の中西にもメダル1を期待する。さらに男子のメドレーリレーは結構チャンスがあるんじゃないだろうか?期待を込めてメダル1を。残念ながら水泳の他の選手の現在のパフォーマンスがよくわからない。男子では松田、森田は世界選手権などの実績もあるが、今回はどうなんだろう? わが愛読誌Numberの予想では男子背泳ぎ200mの入江、女子平泳ぎ200mの種田の銅メダルが予想されている。
■陸上 オリンピックの華は何といっても陸上である。まず史上初の連覇を目指す野口みずき。かなり確率は高いと思っていたが、急きょ帰国との報道。故障というようなことだと厳しいが、現時点では金の最有力候補だと思う。アテネの金メダリストで先日の記録会で今シーズン世界3位の記録を安定した投擲でたたきだした室伏広治。この人のパフォーマンスは本当に美しい。博士号をとった理論を実践する天才は、メダルは確実だと思う。ここは期待を込めて金1を。ついでに土佐にもメダル1を。
 そして現実的には相当に厳しい状況だが、為末、末續のどちらかにメダル1を期待したい。特に常に工夫を凝らして陸上を盛り上げ、最後のオリンピックに臨む為末の最後の粘りに期待する。メダルが取れなくても、その姿を焼き付けたい1人だ。
団体競技 サッカー男子はちょっと厳しいが、「なでしこ」は次の試合しだいでメダルのチャンスがあると思う。内容は良かったし、何といっても沢のパフォーマンスには頭が下がる。ぜひメダル1を。
 野球は是が非でも金メダルを取ってもらいたい。実力も申し分ない。WBCも五輪予選も多少のメンバーの違いはあるけど、このチームは最高だと思う。最後かもしれない五輪の野球。世界一のチームとして名をとどめてもらいたい。
 ソフト。投手陣は、上野をはじめ世界の強豪に引けを取らない。課題は得点力だろう。メダルは堅いと思うが。ええい、ままよ。金メダルを予想してしまおう。
 女子バレーはさらなる上積みがあればメダルのチャンスがあるかもしれないが、どうだろう? 女子ホッケーもNumberでは銅メダルに挙げているが、どうだろう?
■柔道 昨今、ルールや判定が「柔道」ではなく「JUDO」というべきものになりつつあり、日本人としては歯がゆい思いが残るが、スポーツのルールなんて変わり続けてきた。それを「違う」だなんだいっても始まらない。それでもなお日本は強いことを証明して見せなくてはならない。そうでないなら講道館でだけやってればよいことになってしまう。
 アテネメダルラッシュをけん引した柔道に、アテネの再現を期待したい。まず谷亮子。間違いなく金を取ると私は思う。女子では、塚田、谷本、上野、中沢とメダリストがそろう。Numberでは52kg級の中村美里を金メダル候補に挙げている。中村は面構えが素晴らしい。この5人で金2・銀銅2。
 男子はもう、本当にリベンジの大会だ。鈴木、石井、内柴、平岡には何が何でも金を取ってもらわないと困る。実力は文句なしだ。野村を蹴落とした平岡、井上の夢を砕いた石井には特に。したがって金は4。残り3階級も世界選手権のメダリスト揃い。メダル2を。
■体操 アテネ団体金だが、最大・最強のライバルが地元中国であることを考えると、連覇は相当に難しい仕事だ。具志堅監督は大いにチャンスはあるといっていたが、さて。ここは順当に団体で銀、個人種目でメダル2を。
レスリング 女子の伊調馨吉田沙保里の金は堅い。さらに姉伊調千春浜口京子にも金を狙ってもらいたい。ここは気合!で全種目金。男子は申し訳ないがまったくわからない。
■その他 その他の競技では、注目度で言うと圧倒的にオグシオだが、メダルは厳しいか。それから卓球の愛ちゃん。団体も含めてメダルは厳しいかもしれない。テニスの錦織、杉山が森田と組むダブルスも期待したいがメダルは相当難しい。シドニーで銅をとったテコンドーの岡本も、今大会でのメダルは難しいかな。でも注目はしたい一人だ。命かけてますからね。
 メダルの可能性、ということでは最も可能性がありそうなのはシンクロの団体とデュエットだろうが、井村監督率いる地元中国の成長は著しい。開催国は思わぬ力を出すことがしばしばだし、ひょっとしたら表彰台を譲ることになる可能性がかなりあると思っている。
 それから世界ランク1位のトランポリン・上山も中国勢が強いことを考えるとメダルは確実とは言えまい。元銀メダリスト福島(旧姓 長谷川)のピストルにも注目したい。紆余曲折を経てこのオリンピックにかける思いは本物だと思う。ケイリンも日本発祥のスポーツだし期待したいが、どうなんだろう? メダルはともかく、NHKの「スポーツ大陸」に登場したトライアスロン女子の上田藍のひたむきさは胸を打つものがあった。がんばってもらいたい。
 というわけで、「その他」の彼ら・彼女らからメダル3を期待したい。

 全部で金18・銀銅17の計35個のメダルという予想になった。より厳しい予想では金16・銀銅10というところだろうか。前回アテネが金16・銀9・銅12。全体のメダル数ではアテネに及ばないが、金メダルの数は史上最高だったアテネに匹敵する成績を予想する。選手の皆さん、ぜひ頑張ってください!!!