US OPEN 2回戦 錦織対カラヌーシッチ(6-1、7-5でカラヌーシッチが棄権)。錦織は圧勝で3回戦へ。相手は第4シード・スペインのフェレール。

 カラヌーシッチは途中棄権したくらいだから体調が万全でなかったのかもしれない。それを差っぴいてもカラヌーシッチはひどすぎた。見るべきものは時折決まる一か八かの一発狙いのショットだけで、サーブの確率は50%以下。柳さんが解説に困るような、一見やる気があるのかないのかわからない態度。審判の判定に長々と文句はつけるは、まあひどい内容だった。
 対する錦織は、相手のそういった態度に若干錯乱させられ、ペースを乱されたところもあったが、全体としては落ち着いて自分のテニスができたんじゃないかと思う。試合後のインタビューでも満足そうにそんなことを話し「(3回戦進出は)素直にうれしい。自分の調子も良かった。トップの選手とやれるのが今はとても楽しみ」と言っていた。
 カラヌーシッチは正直錦織の相手ではなかった。格段に力の差があったと思う。錦織はとにかくストロークが安定しているし、鋭く正確だ。その点はトップ選手のようだ。
 課題は、まずサーブ。この日もファーストの入りは55%くらいだったと思う。上位シード相手ではこれはキツイ。さらに1回戦同様ダブル・フォルトが多すぎる。2回戦では相手のかく乱的態度に幻惑されたところもあったかもしれないが、ストローク戦でも、意外と甘いボールがあった気がする。それを「一発屋」的ショットで決められるシーンがあり、第2セットを7-5という接戦にしてしまった。
 しかし、ネットプレーも上手だし、スピードに溢れ、テンポがいいから、見てて疲れないし、すくなくともこの2試合は終始自分のペースで試合を進めていた。
 3回戦からはそううまくはいかないかもしれない。その時どんなプレーを見せるかがまた楽しみである。「とにかく積極的にいきたい」そう話す錦織圭は自信に満ちて楽しくて仕方がない、そんな風だった。ミスを恐れず、しかしミスを減らしてもらいたい。フェレールに勝つようなことがあれば、組み合わせ的にベスト8はもう夢ではない。
 もう一つ心配なのは痙攣した太腿の状態だろう。この日も「ちょっと重かった」けど「試合のために準備してきたから大丈夫です」と言っていた。なんとか太腿にも頑張ってもらいたい。

杉山愛も3回戦進出。3回戦はセレーナ・ウイリアム

 男女そろって3回戦進出は全米がオープン化されて以来初の快挙だそうだ。ついでに書くと、男子の3回戦進出は、あの神和住純さん以来実に35年ぶりとのこと。それを聞いて、神和住はそんなに頑張ってたんだ、という意外な感じがした。
 相手が格下とはいえ、全仏で負けた相手だそうで、そんなに力の差があるとは思えないが、この日の杉山は体がよく動いていたと思った。杉山の試合を見ていつもイライラするのは、普通のストロークでのミスが多いし、決めにいったショットもことごとく外れるようなシーンが多すぎることである。自分のプレーとかミスとかいっても、もちろん相手次第なので、負けた試合ではどうしてもそういうプレーばかりが目につくことになるのは当然かもしれないけど。
 次はセリーナ。「とにかく積極的にいかないとチャンスがないと思う」と話していた。こちらもどこまでくらいついてくれるか楽しみではある。

ナダルは快勝。

 チラッとしか見てないけど、相変わらず回り込んでのフォアのショットの威力は抜群だった。金メダルを取ったもののオリンピックの疲れがあるようなことを言っていたナダルだが、やはりそう簡単には負けそうにない。ナダルのプレーの力感はフェデラーにはない−−あるのかもしれないがナダルに比べたら全然ないといっていいくらいに見えてしまう−−最大の魅力だ。観る者を熱くさせる。史上最高に完成されたプレーヤーであるフェデラーがランク1位を明け渡し、心に火をつけられたとしたら−−あまりにも多くの栄光をすでに手に入れてしまったためか、それでもなお彼の心は燃え盛るに至っていないように見えるが−−、今年のUS OPENの決勝はとんでもない試合になるかもしれないと、今からワクワクする。
 ちなみに女子のNo.1シード イワノビッチは早くも2回戦で姿を消した。女子は本当に誰が勝つかわからない。確かオリンピック好調だったロシア勢ということが頭に浮かんで、オリンピックの結果を調べてみたら、デメンチェワ、サフィナ、ズボナレワとロシアの3人が表彰台独占してなんですね。いやはやびっくり。
 セリーナやヴィーナスがこんなに早くこんなに弱くなった−−いや、弱い気は今でもしないが、負けてしまう−−ことが私には不思議で仕方がないのだが、US OPENはやはりアメリカの選手が普段以上に強いので、ロシア勢対アメリカ勢の優勝争いになりそうな気がする。旧東欧勢はイワノビッチ以外にもハンチュコバ、バイディソバもすでに負けてしまった。ちょっと勢いが止まった感あり。