久しぶりにスカッとする素晴らしいサッカーを見せてくれました。ワールドカップ アジア最終予選 日本対カタール(3-0)

 本当にいい試合内容で、結果も3-0。かつての悲劇の地ドーハでのアウェイ戦でしたが、見事でした。特にひとりひとりの選手が自分の役割をきちんと意識して、予選突破という唯一の目標を見据え、浮ついたところもなく、プレーの質の高さを求めて淡々とプレイし続けた、そこが素晴らしかったです。
 岡田監督、先制点の田中達也、今や絶対的なチームの核となった中村俊輔、そしてトゥーリオと、試合後のインタビューを聞いていても、全員の話が全くぶれていない。岡田監督の考えにみんなが共感し、「監督の考えるサッカーを実現しよう」「このサッカーをやり抜ければワールドカップへ行けるし、世界で戦える」と信じていることが伝わってきました。

岡田監督の目指すサッカーに選手たちが共感し始めた

 特に印象的だったのは中澤に代わってDFに入ったベテラン・寺田に対するコメントでした。久しぶりの出場と言うこともあってか、ほぼ完璧なゲームメイクの中で、あえて挙げるなら寺田にいくつかのミスが目立ったかなという印象を持っていたのですが、インタビューに応じた選手三人が寺田に対する感謝・敬意を自ら語っていました。とりわけ今日の中村俊輔は、寺田だけでなく多くの選手の名前をあげて今日のプレーを具体的に説明しながらほめていました。
 こういうことは今までの日本代表のコメントではあまり聞かれなかったことです。この岡田監督が指揮する日本代表はそういうチームなんだなと思いました。
 岡田監督はいつも選手をたて、「選手がよくやってくれた」ということ、それから「自分たちの目指すサッカーをやれたかどうかしかチェックしていないし、できなかったところを次の試合までに修正するだけ」ということしか基本的には言いません。この話には派手さがないけれども、これほど難しいこともないでしょう。つまり自分たちの理想にしか興味がない、それしか目標にない、というのはほとんど修行僧や聖人の境地だからです。やり抜くのは本当に難しいことだと思います。

試合後のインタビューも気持ち良く観たい

 はやしたてないと視聴率が上がらないので、メディアはもっと派手なパフォーマンス、華やかなコメントを求めたいのでしょうが、さんざん痛い目に逢ってきた彼らは、その挑発をうまく避けて、冷静さを保つすべを身につけたように思いました。
 それにしてもインタビュアーにもう少しちゃんと質問できる人を選んでほしいと思います。話を聞いていないのか、聞いていても最初から決まったシナリオ通りの質問しかする気がない(もしくは理解力・対応力がない)のかわかりませんが、命がけでプレーをして戦い終えた選手に対するには、インタビューする資格・能力に欠ける気がします。あるいは個人の資質の問題ではなく組織の問題なのかもしれません。
 俊輔に「けがの調子? けがしてるんだから調子は悪いです」などと言われてしまう。なぜそういう答え方になってしまう質問をするのか。インタビュアーは初めて俊輔と話すんでしょうか。初めてなら、初めてらしい態度が求められるでしょうし、もっと突っ込んだ質問がしたいなら、ちゃんと準備をし質問できる環境を事前に作っておくべきでしょう。言葉の選び方にも問題がありますが、それ以上に質問する側とされる側の間に最低必要な信頼関係が成立していない気がします。その場限りのことではなくて、そこに至るまでのすべてのプロセスにおいて相手への敬意、高いプロ意識が求められているのではないでしょうか。メディアの態度は安易に過ぎる気がします。
 選手たちが気持ちよく応じられるインタビューをしてもらわないと、せっかく今日のようにすばらしいゲームをしていい気分になっていても、選手も視聴者も最後のインタビューの雰囲気で台無しになってしまいかねません。