WBC 準決勝。日本対アメリカ(9-4)。スポーツにおけるモチベーションの力について。

 今日こそ本当の決選である。と書きながら、今のところもうひとつ熱くこみあげてくるものが少ない。今日の決勝戦が楽しみでない、というわけではないけれども、「また韓国が相手か」という気持ちは強い。
 16チームが出場していながら、中国、韓国(5回)、キューバ(2回)、アメリカの4チームとしか対戦せず決勝。ベネズエラプエルトリコとの試合も見てみたかった。

アメリカは本気が足りない。

 準決勝はいきなり先頭打者ホームランを打たれたが、メジャーで見ていた松坂の「ほどほどの調子」くらいな感じだった。あまり良くなかったが、それでも肝心なところを抑えてずるずるぶち壊しにしないところが松坂のすごいところの1つなのである。
 イチローの調子も相変わらずあまり良くないが、この日もタイムリーを1本放った。イチローの不調の原因の1つはやはりモチベーションの低下にあると私は思う。
 前回は「初代チャンピオン」「王監督」といったあたりに強いモチベーションがあったと思う。今回は「もう一度優勝を奪い取る」「原監督」。さらに自信の年齢とキャリア(いかにイチローでもバリバリやれる時間はそう長くはない)なども影響しているにちがいない。「アメリカが相手だと意識しなくなったのが特別」というようなことを言ったそうだが、意識しなくなったということはすでに特別ではないわけで、モチベーションにつながるのは常に特別な感情でしかない。イチローは、前人未到の記録、困難な状況、強すぎる相手にこそ興味を覚える天才なのである。
 この試合、ようやく川崎がスタメンに入って大活躍だった。でもイチローの前で岩村や川崎がランナーをかえしてしまうので、どうもイチローのモチベーションが上がらずじまいだったように見えてしまった。
 アメリカ選手はもっとわかりやすく、モチベーションが影響している気がした。メンバー的にもほんとのスーパースターは野手ではジータくらい(ユーキリス、C・ジョーンズは怪我で離脱)。ペドロイアは出てなかったけどなんかあったのかな?投手陣はもこの試合に投げたピッチャーはあまり知らない選手ばかりだった。
 試合見ててもエラーも多く、本気を出そうとしてるんだろうけど、どうも本気にはほど遠い気がした。「無理してモチベーションを高める」なんてのは、これはもう不可能なわけで、それこそ自然にわき上がる力でしかありえない。デリケートなものにちがいない。
 アメリカ人はこれはもう何のかの言ってもメジャーリーグがNo.1だと思っているのであり、事実リーグ戦をやれば間違いなくNo.1なのだからWBCで優勝できなくてもそれは変わらない。「負けたくない」というのは選手の本能なので負ければ悔しいだろうが、悔しさが本気じゃない。
 サッカーのワールドカップとオリンピックの関係もこれと似ているが。日本の相撲におけるモンゴルをはじめ外国人力士と日本人力士との現在の力関係も、少なからず同じような事情に起因しているのはまちがいない。