”K-1 WORLD MAX 2009 World Championship Tournament FINAL8”って長すぎるよ、タイトルが。それはともかく、魔裟斗は本当に強かった。

格闘技に飽きちゃったんだろうか?

 「日本屈指の」キックボクサー武田幸三をノックアウトした大晦日の試合を見ていたので、川尻達也K-1ルールでも結構強いと思っていたが、それは大きな誤りだった。
 正確には、川尻が大したことないというわけではなく、魔裟斗が強すぎる、ということに尽きる。
 なんで、この男引退することにしたんだろう?
 だいたいタイトルマッチでも何でもないのに、ここまで仕上げてくる魔裟斗という選手はすごすぎる。負けたくない、カッコよく=チャンピオンのまま、最強の称号をまとったまま引退したいという美学としか思えない。
 この試合でのスピード、パンチの的確でしかも強いこと。しかも魔裟斗のスタイルはやはり美しいですね。動きに無駄が極めて少ないし、勝負どころでのラッシュは、獲物に襲いかかるチータのようだ。
 武田と魔裟斗では−−少なくともKのルールでは−−力が1弾違うレベルだということだと思った。

KIDは1Rノックアウト負け

 身体の仕上がりや動きのキレは良かったように見えたが、山本“KID”徳郁は復帰後2連敗となってしまった。強かった頃の−−よくよく考えるとアマレスで五輪を目指したころからおかしくなった−−KIDを知る多くのファンにはキツイ試合だった。
 相手の韓国ムエタイ三冠王だというチョン・ジェヒという選手のことはもちろん全然知らない。川尻にもおんなじようなことを思ったが、試合前の舌戦が、まったく「戦」になっておらず、むしろ相手に敬意を払っているように思えてしまったのは私だけだろうか。
 チョン・ジェヒという選手も、「KIDなんて全然怖くないさ」とうそぶいていたが、KOで勝った瞬間の喜びようはただ事ではなく、どうにか失神から我に返ったKIDに歩み寄り、一KIDファンのように握手を求めた。
 1R KOという敗れ方も含めて、KIDの負けはかなりびっくりしたが、左フックをまともに受けて完全に失神しながらも立ち上がろうとする姿にゾクッとした。
 次戦こそ「神の子」にふさわしい、人間業とは思えないような1発で仕留める勝負を見せてもらいたい。