入江は一人全く違うメソッドを持った選手に違いない。世界水泳・2009ローマ大会。

世界水泳。200m背泳ぎ、入江陵介は銀メダル

 アーロン・ピアソルとの一騎打ちとなった決勝。後半追い上げた入江だったが、一歩及ばず銀メダル。
 ただ、タイムは世界記録を上回る1分52秒51.この記録は水着の公認問題で最終的に世界記録と認められなかった、自身の日本記録1分52秒86をも上回った。
 結果的に「世界記録を上回る日本記録」というはなはだおかしな状態が解消された。そして入江を上回ったピアソルのタイムは1分51秒92という驚異的なタイムだった。

一人違う入江の体格と泳ぎ

 結果はともかく、私が驚いたのはスタートで並んだ時の入江の体の細さ、小ささだ。インタビューなどで一人だけ映った入江の体は、それでも筋骨隆々で逆三角。「おー、さすが世界のトップスイマーはすごい」
 ところが、決勝に並んだ他の選手に比べると身体は縦にも横にも明らかに一段小さい。TVの画面を見ててもわかるくらいに。鈴木大地がオリンピックで金メダルを取ったときも近い感想を持った気もするが、その時よりもさらに世界と入江の高くの差は歴然ではないだろうか。
 泳ぎも他の選手とは全く違う、ということが今回決勝レースを見てわかった。一番違うのはおそらく腕を回転させるスピードである。明らかに他の選手より遅い。遅いのに体は前に行くということは、泳ぎ方が−−どこがどうというのは私にはまったくわからないが−−、水中で体を移動させるためのメソッドが全く違う理屈もしくは技術によっていることになる。
 1つだけわかるのは、入江の腕がよく伸びるということだ。のびやかな泳ぎ、ということと同じかどうかよくわからないが、確かに他の選手の一かきより大きいということはわかる。
 つまり入江と言う選手はおそらく背泳ぎの革命者なのだと思う。