宇多田ヒカルはやはり只者ではない(ことさら言うまでもないか)

 NHKの「トップランナー」という番組で、宇多田ヒカルがすごいことを言ってました。スタジオの観客からの質問を受け付けるコーナーで、若い女性が「聴くと元気になる曲は何ですか?」と質問しました。
 私は「それは私の曲に決まってるじゃない」とちょっとムッとでもするのかと思ったりしてました。客の前に座り、メガネをかけた宇多田ヒカルは、右手でメガネの鼻押さえを上に上げて、少し考えた後に、こう言いました。
 「モーツァルトのレクイエムかな」
 おそらく、その会場にいた誰一人(?)思いもよらない答えだったのではないでしょうか。
 私自身も、たいへん好きな曲で、自分の葬式が行われるなら、ぜひこの曲で送ってもらいたいと思ったりします。しかし、レクイエムです。特別な気持ちの時にしか今は聴きません。「キリエ」などを聴くと、その力強さに「元気が出る」というのは当たらないことはないと思うのですが、このやりとりにあって、天才ポップスターが発する答えとしては驚きました。「宇多田ヒカルがすごいことを言った」というのがすぐ口にした感想でした。彼女の音楽もまた、西洋音楽の長き伝統を踏まえた音楽なんですね。
 やっぱり、新譜も聴いてみたくなりました。
ULTRA BLUE

モーツァルト「レクイエム」

初めて聴く方には、ベーム指揮ヴィーン・フィルの演奏をお勧めします。たくさんの録音がありますので、あとはご随意にどうぞ。
モーツァルト:レクイエム