上原ひろみ ASIA TOUR 2006 名古屋公演に行ってきました。

「師走のお忙しいなか、このライブのためにお時間をとっていただきありがとうございました」と上原ひろみは言ってました。

 12月13日、場所は愛知県厚生年金会館。まずは昨年に続き今年も上原ひろみが名古屋でコンサートをやってくれたことに感謝。そして、今年もこのコンサートに来れたことがうれしい。来年もぜひ来たいですね。
 上原ひろみは例によってカンフー・スタイルの黒の衣装に赤いスポーツシューズで登場。家人によれば「去年はプーマだたけど、今年はオニツカ・タイガー」らしい。
 始まりは新曲なんだろうか、聞き覚えがない。以降全ての曲は既知の曲で、このツアーは「SPIRAL」までの三枚のアルバムの集大成なんだと思う。スピーディーな曲はどこまでも速く、音は極力余韻を引かず、メロディーは極力後方に押しやられ、ただリズムだけを刻むように演奏していた。「もう何千回、何万回もこの3人で演奏したから、目をつぶってても演奏できるわ」とでも言うように、まさに自由自在だった。
 特に目を見張ったのはドラムのマーティン・ヴァリホラ。私はドラム奏者をそうたくさん知らないし、演奏技術にも詳しくないけれど、あのドラムはただ事じゃない、という気がした。上原の曲は、ときに繊細でデリケートなリズムをも求める。マーティンはそれを難なく演奏してしまう。必要に応じて音量、スピード、奏法、何でもござれ、「できないことなど何もないさ」てな感じである。上原に劣らぬ拍手をもらっていた。純粋にテクニカルなところだけ言うと、上原を食ってさえいたかもしれない。まさに独壇場だった。
 しかし、だ。マーティンがこれだけすばらしい演奏をしてもなお、このトリオの演奏に魂を入れているのは−−当たり前だけど−−上原ひろみだった。鍵盤をたたく彼女の指、床を蹴る赤いシューズ、身体の動き、目、声、全身全霊を込めて音を弾き出す。

「GREEN TEA FARM」は大人を泣かせます。

 休憩後、「俺にもやらせてくれよ」ってわけじゃないんだろうけど、真っ暗なステージにベースのトニーが、ベースとは思えない繊細なメロディをソロで奏でていく。そして2人が合流。個々のテクニックはもちろんだけど、トリオのチームワークがまたすばらしい。野茂が入団した頃のドジャースくらい。照明も、曲によく合ったシンプルな演出で、スタンダードながら好ましく思った。
 何曲かの後、ステージは上原1人になり、軽いMC。浜松時代の親友の披露宴(in名古屋・メルパルク)に出席したときの話などを披露してくれた。新郎のリクエストで弾いたという「GREEN TEA FARM」のピアノ・ソロは限りなく繊細で、心のこもったものだった。そんなの弾いてくれるなら私も披露宴をやりたいと心から思った。それにしてもこの曲はほんとに困る。絶対聴きたいが、大人としては人前では見せられないことになってしまう。ピンスポットで座席が暗いからまだしも、映画の「火垂るの墓」並みに困る。
 そして、もう一度3人で、最後は「RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION」。そうだと思った! 祭りの最高潮にはふさわしい曲に違いない。さらにアンコール。本当に楽しい夜だったなあ。純粋に音楽を聴いてこんなに楽しいという幸せ。去年とは客のノリも明らかに違っていた。「上原ひろみのコンサートはこうやって楽しむとさらに楽しい」みたいなツボをみんながつかんでいた。本当にみんな楽しんでいました。ステージとの一体感みたいなものも確かに醸成されていて、最後はほぼみんなスタンディング・オベイションでした上原ひろみも「名古屋サイコー」って言ってたなあ。「この夜に限っては」名古屋は確かにサイコーでしたね。
■2005年の名古屋公演についてのBLOG:http://d.hatena.ne.jp/Uu-rakuen/20051125

待望のニューアルバムは「TIME CONTROL」

 待ちに待ったニューアルバムが来年2007年2月に出るそうです。タイトルは「TIME CONTROL」。トリオはそのままに、ギターに上原の古い友人フューズが加わるそうだ。楽しみにしています。
 ところで、トニーは楽しみにしてたという手羽先を食べれたかな。やっぱり「山ちゃん」だろうか。ちなみに私は、この後、名古屋駅近くの「天狗」で手羽先も食べました。東京にもあるチェーン店だと思いますが、ここの天狗はお勧めです。安い、速い(たまには遅いときもある)、うまい、しかもときどき感動するくらい親切だったりします。